お知らせ・特集 NEWS

  • 2026.11.06
  • 特集

抹茶を濾す作業を考える(Satenインタビュー前編②)

小山和裕さん(以下、小山):(株)抽出舎CEO。日本における抹茶ラテの火付け役として業界を牽引する東京・西荻窪の日本茶カフェのSatén Japanese Tea を経営。店を経営する傍ら、茶葉や茶器の卸販売やプロデュース、商品開発なども行い、日本茶のワークショップや専門学校での講師業も行っている

聞き手:山後隼人(新越ワークス スリースノー事業部)

第2章 おいしい一杯を支える、道具とオペレーション

-抹茶スプーンの「粉のつきにくさ」

山後「抹茶スプーン、使用後の粉のつき残りはどうですか?」

小山「すごいいいです。訴求ポイントになると思います。出る量によりますが、1日中使い続けても普通のスプーンを使っているより圧倒的につかないですね」

山後「開発段階で普通の特殊表面処理(粉ツカーズ)をしていないスプーンは、粉がつく感じがすごく気になったんです」 小山「抹茶をたてる人たちは、知っていたら絶対にこの加工された方を選ぶと思います。選択肢の中にあるかないかは大きい。そもそも、ストレーナーを知っている方々でも、抹茶用があるんだってところからスタートしますから」

山後「なるほど。そうですね」

小山「1日中すごい量を作っていると、スプーンの表面に抹茶の層ができるわけですよ。性能的には変わらないから、気にならないかもしれないけど、この層が薄くなるのは感じますね」

山後「実務的というよりかは、スプーンにつく抹茶が残ることにもったいなさを感じるというか。道具を使ってる時の気持ち悪さみたいなものがあるとないだと違うなっていう感じがします」

小山「僕は、その辺が気になる。今まで気にしてなかったけど、粉がつきにくい表面処理しているんですよと言われると、おっいいね!みたいな。今使っているスプーンはすごいつくなーみたいに、多分感じると思うんです」

-異物感とおいしさ

山後「味わいと舌触りについて、この食感って言ったらいいんでしょうかね。当たる感覚。苦いとか甘いとかっていうのとは違う部分で」

小山「異物感ですね」

山後「これがすごく抹茶には大事ってことですよね」

小山「ラテにしても、ミルクのクリーミーさの中に異物感があるとすごい嫌でしょ」

山後「確かに、そうですね」

小山「例えるとしたら野菜ジュースかな。特にパックで売っている野菜ジュースにも、のどごしがサラサラしたタイプとあえてドロとしたタイプがありますよね。あれはどっちが好きですかっていう話に似ている気がします」

山後「そういうことですね」

小山「あれは両方美味しく作られているけど、僕はドロっとした食感をあえて残しているタイプの野菜ジュースはあまり好きじゃないんで。ゴクゴク飲める方がいいですよね」

山後「科学的に分析すると何かあると思うんですけど、その感覚は共通でありそうですよね。スルッと入ってくる時の良さというか。美味しいという広い概念の中には含まれているはず。旨味とか甘みとか、という概念ともちょっと違う」

小山「かぼちゃスープで裏ごしされてるやつと、裏ごししなくてミキサーだけでやるやつだと全然違うじゃないですか。あれも好みっちゃ好みですけど。でもスープとして考えた場合は、裏ごししてなめらかな方は美味しい。美味しいって難しいですよね」

山後「料理の話で捉え直してみると、抹茶ってドリンクではありますが、スープっぽくもありますよね。スープで考えると、例えばラーメンスープがゴロゴロしていたら嫌だなって感覚はわかります」

小山「嫌ですね、とっても。煎茶もそうですけど、基本的には料理なので。コーヒーもそう。その前提で、どこまでの性能、クオリティーを何で出すかみたいな話にはなっていく。だから、抹茶もそこまで泡立てる必要もないじゃないと言われる側面もある」

山後「ただ、抹茶が茶筅で立てるということを改めて考えると、理由がありますよね。粉をお湯で溶かせばできるものではないというか」

小山「抹茶はスプーンでかき混ぜても溶けないくらいに粒子が荒いんです。茶せんでたてることで香りが立ちやすくなるのが大きい。たてることで旨味とか甘味が出るかっていうとそうではなく、香りとかその舌触りが圧倒的に変わります。もちろん、パフォーマンス的にも必要だとは思いますが、味わいとしても変わる。そう考えると、立てる上ではやっぱりストレーナーは必要です」

小山さんとの抹茶談義は中編・第3章に続きます