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  • 2022.04.11
  • 特集

道具で伝える日本酒文化 温度で色づく「まどろむ酒器」に込めた想い

地域の食と日本酒文化

地域には、それぞれの食文化が存在し、日本酒はまさにその文化を凝縮したものと言える。水、米、制法をはじめ、歴史や親しまれ方などその地域にしかない要素が含まれているからだ。私たちはそんな地域の食文化を継承し、発展していくための道具をたくさんの仲間と共に、ここ燕で作り続けている。日本酒文化には、日本人の生活、文化、精神性が表れており、酒器はそれを表す一つの要素と言えるだろう。時代や地域によって、器に使われる素材や形状も様々。燕には得意としてきた銅素材の酒器を製造してきた歴史がある。スリースノーは10年以上前から銅・錫メッキ素材の酒器を展開してきたが〝日本酒文化の魅力をもっと広げたい〟という想いで商品の再開発を行った商品が「まどろむ酒器」である。

美しさを纏う日本酒の所作

日本酒を楽しむシーンには「注ぎ注がれる」所作がある。人の手から人の手へ注がれる動きは、日本人の「つながり」を大切にする精神性の表れともいえるだろう。注がれた瞬間に絵柄が色づき、手元に注目するという仕掛けのあるまどろむ酒器は、そんな日本酒の文化を体現することが可能だ。

色づくまどろむ酒器

150mlサイズの銅・錫メッキの酒器の表面に、16℃以下の温度に反応して色づく絵柄を転写しており、冷たいお酒などを酒器に注ぐと、ふわーっと絵柄が色づいていく。熱伝導の良い銅は器の内側の温度を外側にすぐに伝えるため、この変化や表現が可能となっている。

絵柄は現在、桜、花火、紫陽花、紅葉、雪椿の5種類。日本の季節を象徴する植物や風物詩が描かれており、日本の風土や季節感を感じられる。じわじわと変わる色の変化は、植物が色づいていく時間の変化を凝縮し、花火が打ちあがる時間を表現している。酒器を愛用している方いわく、「ついついお酒を注ぎたくなる酒器」と表現してくださるように、見た目も楽しめるのがこの酒器の最大の特徴である。

銅と錫という金属素材は、古来より人々の生活の中に存在した金属だ。金属加工産地となった燕でも最初に加工された金属素材は銅であった。「まどろむ酒器」は、熱伝導が良く抗菌作用のある銅の表面に、錫メッキを施している。錫は高い浄化作用を持ち「錫の器に入れた水は腐らない」と言われるほどだ。錫の器はお酒の雑味が抜け、味わいがまろやかになるという特徴がある。

日本酒の魅力を広めたい

「まどろむ酒器」の開発にあたり根底にあったのは、日本酒をもっと多くの人に楽しんでほしいという想いだ。日本の酒造の数とともに、日本酒の消費量も減少傾向にある現代。新潟県も〝日本酒王国〟と呼ばれ地域の特産であるが、全体的な数は減少している。現状を知るほど、日本酒の魅力を普及させたいと思うようになった。その想いは、丸モ高木陶器の高木社長も同じだった。

地域を超えたパートナーの存在

提供:㈱丸モ高木陶器

共同開発に取り組むことになる、岐阜県多治見市の丸モ高木陶器、高木社長とは2018年に開催された東京の展示会での出会いがきっかけだ。商品の取引だけでなく、岐阜県と新潟県を互いに行き来しながら、お互いの技術や情報、思想を交換し、商品開発を進めてきた。

新潟・燕と岐阜・多治見

開発にあたっては産地や素材の違いを理解する必要があった。工業的に金属製品を加工することを得意とする燕と、手工業の工程も多い陶器の街・多治見の製法は、条件も思想も異なる点が多く、何度も試作を繰り返し、安定して生産できるまで約1年半の歳月をかけた。多くの時間と協力を繰り返すことで、共通言語や感覚を知る機会となった。

道具も含めて文化をつくる

食を構成する要素は、素材や料理の他に、器や空間も含まれる。ワインにはワイングラスがあるように、日本酒には日本酒器がある。お酒や料理を楽しむ瞬間に、道具はその役割の一部を果たしているのだ。道具は食文化の一つのパーツであり、道具を含めて食文化という考えを持ち続けていきたい。

「夫婦二人の晩酌の時間が一層楽しくなった」、「お客様へとっておきの日本酒を出すときのサプライズになり、より喜んでくれる」など、多くのご家庭や飲食店から届く喜びの声が私たちの大きな励みとなっている。

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