淹れ手とものづくりが日本茶業界を変えていく(Satenインタビュー後編②)
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小山和裕さん(以下、小山):(株)抽出舎CEO。日本における抹茶ラテの火付け役として業界を牽引する東京・西荻窪の日本茶カフェのSatén Japanese Tea を経営。店を経営する傍ら、茶葉や茶器の卸販売やプロデュース、商品開発なども行い、日本茶のワークショップや専門学校での講師業も行っている
聞き手:山後隼人(新越ワークス スリースノー事業部)
第6章 ものづくりにおける技術革新をどう考えるか
-作れるスピード
小山「スプーンについても、この案が出てから販売に至るまで1年ですかね。一昔前はそれが多分5、6年かかったんだろうなと。焼き物でも(ORIMGAMIの片口抹茶碗も)2年以上かかってます。焼き物は作ろうとしたら10年かかるとか言われていたものが、今はやろうと思えば1週間で終わってしまう。だからそこの時代の流れのスピード感に全く乗れてない。

でも、乗ればいいかって言ったら多分そうでもなくて、それは真似するだけで技術革新はないということになる。独自性がおそらくなくなるんだろうなと思います。日本だとまだこのような技術が残っている中で、技術製品みたいなのは今後多分肝になるんだろうなと思っています。僕らの下の世代がそれを思うかどうかは別ですが」
山後「それはそうですね」
小山「別の話ですが、ここ7年くらい専門学校で日本茶を教えていて、去年ぐらいからAIで資料制作をするようになりました。資料自体は30分でできてしまうんですね、自分の今までの経験を全部突っ込んだものがそれくらいで仕上がった。去年までは自分で作ってて3時間とか1日ぐらいはかかってました。それを考えると、今までは講師というのも資料をまず作らなきゃいけないというハードルがあって、講師ができる人とできない人みたいなのがいましたけど、これもそういう縛りがなくなってきた」
山後「資料を作れるハードルがなくなると、面白い視点さえあれば、人気講師になれるんじゃないかと思ってしまいますね。それと同じでメーカーからしてみると、ものづくりもゼロイチを作れるとかぐらいしか独自性を担保できないのではと思う部分はあります」
-効率化では説明できない「愛される店」

小山「AIで一気に変わるだろうというのは言われているわけですが、その点でいくと飲食店は何も変わらない。何も変わらないというか、逆に言うとその差が激しく広いっていう感じですね。これからのことを考えられるお店と、考えられていないお店との差が圧倒的に大きい。でも不思議なのが、この間も高円寺に行ったのですが、新しくて綺麗なお店は8割ぐらいの席の稼働で回っていて、隣にある昔からあるような居酒屋さんいっぱいなんですよ。外まで人出てる。この差はなんだみたいなことを思いますね。きれいなお店の方はマーケティングとかしっかりして作られているんだけど、こっち(昔ながらの居酒屋の方)は考えてないはずなんですよね。日々の営業頑張ってまーす!の感じなんですよ。何が違うのかというのは AI では判断ができない領域ですよね」
山後「なんと表現したらいいのかわかりませんが、惹きつける何かがあるのでしょうね」
小山「言葉にできない、ロジックではないものっていうのは蓄積されたものでしかない。飲食店は多分それがすごく顕著に出る。しかも言葉にならない。長くやってるとしか言いようがない」

山後「それが面白いところでもあるんですけどね。よくわからないからこそ、そこに魅力を感じることはありますよね。人かもしれないし」
小山「最終的に人なんですよね。ただ僕は飲食店といってもカフェ業態は少しわかるようになってきたけど居酒屋業態はよくわからないことがたくさんです(笑)。抹茶スプーンはそんな飲食店の皆さんにも使っていただきたい商品、いよいよ完成ですね!これからが楽しみです」
―おわりに
小山さんとの対話で見えてきたのは、日本茶、抹茶を提供する飲食店の仕組みと道具との関係。個人用と業務用では商品のコンセプトも違いますが、道具を見つめるプロの視点は、今はまだ見えない道具のあり方を見つける可能性を秘めているように思えます。
私たちは業務用の調理道具、ザルを製造・販売しているメーカーですが、日本茶業界、日本茶を愛する皆様にお届けする商品を開発すべく、ThreeSnow TEAとして「淹れ手」がもっと使いやすく、美しく使えるような道具を開発してまいります。
今回完成した抹茶スプーンは、ぜひ飲食店、カフェの皆様にまずはじめに手に取っていただきたい商品です。

Interview and Text: Hayato Sango
Edit: Mayuko Kimura
Photography: Kakeru Ooka