「持ち手から考える」最適なラーメンてぼの選び方
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持ち手(ハンドル)を考える
数あるラーメンてぼの中でも持ち手の種類は様々ですが、主に考えるポイントとしては材質と形状です。今のラーメン業界的においては「木柄」が主流であり、スリースノーのてぼの多くも木柄が採用されていますが、そのほかに衛生面を考慮した「樹脂」「シリコン」「ステンレス」の材質のハンドルもあります。
厨房業界においてはHACCP(ハサップ)をはじめとした衛生規格の遵守することはすでに標準的で、衛生的に使用できる材質の持ち手はこれからますます求められて行くものと考えています。使う道具や機器類が衛生的に使用・保管されることが求められていて、「菌が繁殖しない・しづらい」道具を選ぶ責任が使用者にも課されています。調理道具の持ち手もその一つですが、業界的には木柄への需要が依然として高い状況にあります。
木柄のメリット
まず初めに、木柄のメリットについて考えてみましょう。おそらく圧倒的に支持される理由の一つが「持ちやすい」ことにあると思われます。
木柄は「吸湿する」性質があり、その分滑りにくく、手に馴染むような持ち心地が作業性を高めてくれます。そもそもラーメン店にとって「てぼは消耗品」で、交換頻度もそこそこあり、作業性が高い木柄を選びたいと考えるユーザー様もいらっしゃることでしょう。その点で「木」という材質はこれまで圧倒的な支持を獲得してきました。スリースノーでも半分以上のバリエーションは木柄であり、作業性をさらに高めるために「金属線ワイヤーを木柄の中に通す設計」を採用しています。
この構造によって熱くなったワイヤー線を直接触ることなく握ることができるので、やけどのリスクを低減することができます。実際に多くのユーザー様からもご好評をいただいているポイントです。
木柄のデメリット
木柄の欠点、それは長時間の吸湿により「腐ってしまう」可能性があることです。てぼのハンドルに採用されている木は自然物であり、環境によって腐敗が進行していきます。
長い営業時間の中で湿度の高い厨房環境にさらされるので、木柄が水分を吸収する環境を免れ得ません。また飲食店の厨房環境においては業務用の食器洗浄機で道具を洗浄する場合が多いです。この時に使用される食洗機内の水温は80℃にも達し、高温環境下に道具を晒すことになります。そのため木製の道具も過酷な環境下に晒すことになり、その分ダメージを被ってしまいます。
もちろん、お店の判断によるものですので問題なく食洗機で木製製品を洗浄しているお店もあると思いますが、木柄の性質から考えたときに一考の余地はあるでしょう。
その中でもスリースノーで採用されている木柄は「ケヤキ(欅)」であり、木の種類の中でもきわめて硬質で、耐水性が高く、対朽性(たいきゅうせい)に高い材質なので業務用調理道具に向いている材質といえます。
営業終了後にもしっかりと乾かして保管すれば長くお使いいただける持ち手です。
その他には、「丸木柄」というタイプもあり(材質は朴木(ホオノキ)です)、こちらは最もクラシカルなタイプです。
ケヤキほどの耐朽性はありませんが、円筒形状の持ち心地が好みのユーザー様も多く、ロングセラー商品の一部に採用されています。
樹脂(SPS)の可能性
スリースノーのてぼが金属線を包み込む構造でケヤキ材を使用していることで、ラーメン店の作業環境に配慮した設計になっていることはこれまで述べてきた通りですが、それでも天然木の性質上、朽ちていく材質であることは間違いありません。そこで代替される材質として樹脂性のハンドルを採用しています。
この樹脂はSPS(シンジオタクチックポリスチレン)という材質にガラス繊維を配合しているものです。耐熱温度が高く(200℃)、とても硬質で、対薬品性にも優れます。吸湿性も低く衛生性に優れる素晴らしい素材です。徐々に市場への広がりを見せています。特に日本国外の厨房環境にも適応しうる素材として選ばれることが増えてきました。
プラスチックのイメージとして、木柄よりも「滑りやすいのではないか」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、スリースノーの樹脂ハンドルにはシボと呼ばれる細かい凹凸が刻まれています。
この部分が滑りにくいグリップ性を実現しており、厨房現場での作業性を高めています。
「Gてぼシリーズ」のほかに「そうめんてぼ」という特殊な超極細メッシュのてぼも樹脂ハンドルを採用していますが、こちらはPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂という素材。SPSほどではないですが耐熱性に優れ(150℃)、吸湿性も低い性質を持っています。
樹脂は木柄と比較しても外観上の経年変化が圧倒的に少なく、「より長くお使いいただける」性質のものです。ラーメン店にとって「てぼ」は「自分の武器」であり「メインの調理道具」です。自分が毎日気持ちよく使えるもので、お客様から見られる姿もかっこいいものでありたいですよね。SPSとPBT、どちらもこれからの厨房環境を考えた際には覚えておきたいバリエーションです。
シリコン/ステンレス
SPS等の樹脂素材のほかにシリコン樹脂を採用したてぼもあります。
同じく樹脂で耐熱性に優れ(240℃)、シリコンゴムの柔らかい感触が優しい持ち心地を実現しています。この持ち心地こそシリコンハンドルの最大の特徴であり、てぼ以外の調理道具にも採用されることの多い樹脂素材です。
ステンレス製の持ち手は、滑りにくさを実現しているローレット加工パイプのものとワイヤー線の構造のものがあります。
厨房で求められる高い衛生性に応える18-8ステンレス製ですので、衛生面では文句なしの材質です。公共交通機関の駅・PA/SAなどのレストラン・立ち食いそば・うどん店で使用されるケースも多いバリエーションです。
持ち手は厨房環境への適性と「好み」で選ぶ
それぞれの持ち手の素材を解説してきましたが、時代とともに厨房環境の衛生性に適合するモデルを展開するようになってきています。
「衛生的な厨房には衛生的な道具を選ぶ」
これはてぼを選ぶときの一つの基準と言えるでしょう。
その上で、デザインや風合いも含めた「好み」がてぼの持ち手を選ぶ基準になるべきだと、スリースノーは考えています。
「毎日使う道具だからこそ、いつまでも気持ちよく」
「毎日見られる道具だからこそ、かっこよく」
そんな思いで道具を選ばれてみてはいかがでしょうか。私たちも常にデザインを進化させながら道具のあるべき姿を考えていきます。ぜひご意見もお寄せください。
次回はてぼにまつわる様々な条件についてお話ししたいと思います。続編もご期待ください。
Text & Edit : Hayato Sango (ThreeSnow)